近松門左衛門『大経師昔暦』

(正徳5年〈1715〉上演)


「中之巻」冒頭部

京近き。岡崎村に分限者の。下屋敷をば両隣中に挟るしょげ鳥の。牢人の巣の取葺屋根。見る影細き釣行燈太平記講釈。赤松梅龍と記せしは玉がためには伯父ながら。奉公の請に立ち他人向にて暮しけり。講釈果つれば聞手の老若出家交に立帰る。なんと聞事な講釈五銭づゝには安い物。あの梅龍ももう七十でも有らうが。一理窟有る顔附アヽよい弁舌。楠湊川合戦面白い胴中。仕方で講釈やられた所本の和田の新発意を見るやうな。いかい兵でござったの。いづれも明晩々々と散り/゛\にこそ別れけれ。


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菊池真一 mailto:kikuchi@konan-wu.ac.jp or kikushin@kikuchi.dddd.ne.jp