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第一巻 水戸黄門漫遊記(宝井馬琴) 寛永三馬術(大島伯鶴) 日蓮上人(柴田南玉) 亀甲縞治兵衛(一龍斎貞丈) 小田原遺恨相撲(一龍斎貞鳳) 第二巻 太閤記(旭堂南陵) 吃の又平(神田山陽) 紀国屋文左衛門(宝井琴凌) 幡随院長兵衛(神田伯龍) 第三巻 大久保彦左衛門(一龍斎貞鳳) 荒木又右衛門(一龍斎貞山) 天保六花撰(錦城斎典山) 左甚五郎(一龍斎貞鳳) 返り咲き浪花の梅(一龍斎貞鳳) 第四巻 大岡政談天一坊(神田伯龍) 大岡政談村井長庵(神田伯山) 天保水滸伝(神田伯山) 細川の血達磨(田辺南龍) 遠山金四郎(悟道軒円玉) 第五巻 鼠小僧次郎吉(神田伯治) 清水次郎長(神田伯山) 快男子(一龍斎貞鳳) 毛谷村六助(一龍斎貞鳳) 佐倉宗五郎(桃川燕友) 第六巻 伊達誠忠録(西尾麟慶) 加賀騒動石川寅次郎(宝井馬琴) 佐賀の夜桜(桃川若燕) 白菊金五郎(神田伯龍) 第七巻 寛永御前試合(宝井馬琴) 赤穂義士本伝(一龍斎貞山) 赤穂義士銘々伝(一龍斎貞丈) 別巻 講談事典 監修 木村毅・池田弥三郎・宝井馬琴・一龍斎貞鳳 執筆者 中沢●夫・佐野孝・八幡良一 この全集については、田辺孝治氏の次のような批評がある。(「講談研究」第207号。昭和46年4月20日) 講談社から「定本講談名作全集」(全七巻別巻付、計八冊)が出た。限定三千部で、二万三千八百円といふ値段は少々高いが、代表的な講談が集められてをり、総ルビ付で子供にも読める。私も子供の頃、読めない漢字をルビをたどりながら読んで、随分むずかしい字を覚えたことを思ひ出す。別巻の名講談解題と江戸の地理、武士の生活、町人の生活、江戸の風俗、江戸の消防と警察などの項目は読物としても面白く知識としても役に立つ。しかし厳密に考へると不満もある。監修者として立派な先生達の名前が並んでゐるが、編輯の実際にどこ迄タッチしたか疑問を残す。落語も各種の全集のが出てゐるが、録音テープからの復元活字化や明治期速記本の翻刻など、テキストの作成が厳密の様だが、講談の方はややもすると、速記者が勝手に創作したような活版本の口演者の名前を変へただけのものが横行しがちの様である。この全集でも、馬琴伯山麟慶貞山その他多くの演者が登場してゐるが、何代目のそれなのか全然わからない。六巻の佐倉宗五郎の桃川燕友にいたつてはどういふ人か見当もつかない。勿論内容が面白くさへあればかまはないとも云へるが、全集の権威のためには正直に典拠となつた原本を明示した方がいいのではないか。もつともその原本自体の成立が怪しい場合が多いけれども。なほこまかいことを云へば、四巻の目次に「読む講談、聞く講談 神田山陽」とあるのが本文には欠けてゐるなど、編輯の失態であらう。 田辺孝治 |