寄り添う看護の力。

ケアを必要とする人が、そこにいる。

質の高いケアだけでなく、患者さんの心にも寄り添う。そんな医療職者をめざして、
                                患者さんに寄り添いたいと決意したエピソードを紹介します。

食物アレルギーの私のために、母が工夫してくれたあの日の思い出。

中学生の時、部活でけがをして入院することに。もうすぐ大会だったのに。
悔しさ、みんなへの申し訳なさ、うらやましさ…、
気持ちがぐしゃぐしゃになって、付き添う母に八つ当たりした。 心が曇っていたと思う。

そんな時、よく声をかけてくれる看護師さんがいた。
元気を押しつける感じではなく、何気ない会話が心地よくて…。 話していると、心が少しずつ晴れていくのがわかった。

そして私は今、看護師をめざして学んでいる。けがだけじゃなく、
私の心にそっと寄り添ってくれたあの人のようになりたい、と思いながら。

食欲のないおじいちゃんに、病院の方々がかけてくれた魔法。

看護師に憧れていた高校生時代。
高校に出前授業に来てくれた先生が見覚えのある名前だった。

私の母子手帳に書いてあった名前。大学で指導している先生が助産師のころ、母が、とてもお世話になったと言っていた。
勇気を出して声をかけると、とても喜んでくださった。
「大きくなったね。看護に興味があるの、うれしいわ」

その日から、私のもうひとつの目標は助産師になり、
助産師養成のサポートが手厚い大学へ進学。
私の母が支えられたように、私も誰かを支え、
いつか、自分の手で取り上げた生命の成長を見てみたい。
そんな想いで今日も学んでいる。

食べることが大好きでしあわせ。そんな私に、父からの一言。

中学生の時、テレビを見て衝撃を受けた。

海外のドキュメンタリー番組だった。
水道もなく薬もない、劣悪な環境で子どもたちが命を落としていく。
そんな中、少しでも環境を整えようとがんばる女性の姿…。
「この女性の役割は、日本では保健師にあたります」
コメンテーターの言葉が、ずっと心に残っていた。

高校生になって進路を考える時、その女性の姿が思い浮かんだ。
保健師って、なんだろう。詳しく調べてみると、
地域の人々の健康を守る仕事、とあった。
私にもめざせる仕事だったんだ。
夢は、思っていたよりも
ずっと身近なところにあった。

食べることが大好きでしあわせ。そんな私に、父からの一言。

小学生時代、体が弱く、よく熱を出したり怪我をしたりしていた私。

友達に付添われて何度も保健室にお世話になっていた。

いつも友だちに付いてきてもらって、悪いなぁ…
授業を抜けると、勉強についていけなくなるかも…
もともと心配性だったから、ベッドで休んでいても心は休まらない。

保健室の先生は、そんな私のそばにずっといてくれた。
少し離れたところから「大丈夫よ」とやさしく声を掛けてくれ、
けがの手当てだけでなく友達への気がかりや
勉強の遅れの心配事もゆっくり聴いてくれた。
すごく気持ちが軽くなった。
心も体もみてくれる、生徒にとって安心できる、
私もそんな養護教諭をめざしている。