甲南女子大学 ブログコレクション

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学科日誌 看護学科

第3回 国立イスラム大学・甲南女子大学 国際会議(第20回看護学科国際セミナー)報告

インドネシア等、東南アジアからの訪日外国人の増加に伴い、医療機関を受診する人も増えています。看護学科の教育の国際化の一つの柱は医療のグローバリゼーションへの対応能力強化です。そこで、看護リハビリテーション学部と学部間協定を締結しているインドネシアの国立イスラム大学医療保健学部より2名の講師(公衆衛生学科講師Narila Mutia Nasir先生、看護学科講師 Maulina Handayani先生)をお招きし、さる10月14日に「医療と宗教」というテーマで国際セミナーを開催しました。セミナー前に、Nasir先生、Hanadayani先生と看護リハビリテーション学部長秋元典子先生・看護学科長川村千恵子先生と記念撮影をしました(写真右)。

インドネシアは国民の約8割がイスラム教徒で、世界最大のイスラム教徒人口を有しています。イスラム教徒は一般的に豚・豚由来の食べ物を避ける、決められた時間にお祈りをするなど、日常生活そのものが信仰と深く結びついており、医療を提供する際にはこのような信仰生活への配慮も必要とします。Nasir先生のご講義を通して、予防接種のワクチンには豚由来の成分が入っている事、入っていない製品でも誤解や情報不足から接種したくないという人々がいる事を知り、医療のグローバル化とは、まず多様な医薬品・医療製材を整備する事が重要だと実感しました。加えて避妊する事の是非や避妊の方法についても、イスラム教の教義の解釈が様々にあり、イスラム教徒だからこうしなくてはという見方が危険であることを学ぶ事ができました。Hanadayani先生のご講義では、イスラム教の出産や育児に関わるイスラム教の儀式やしきたり、今でも広く用いられている民間療法などを知ることが出来ました。「なつめ」や「はちみつ」などインドネシアの食文化もご紹介いただきました。Q&Aセッションでは、兵庫医療大学などから参加してくださった看護学生さんも含め、多くの質問やコメントが述べられ、活発な質疑応答となりました。
講義の後は、りんくう総合医療センター 国際診療科 看護副師長 新垣智子さんより、センターにおけるイスラム教徒の患者さんへの対応の実際についてお話し頂きました。その後、医療機関を最初に受診する時に記入する問診票(日本語・インドネシア語併記版)を用いて、イスラム教の患者さんに使うにはどのような項目を追加する必要があるか、というテーマでグループワークを行いました(写真下)。アドバイザーとして、実習病院でもある神戸赤十字病院 看護部より、ウガンダで支援活動経験のある二星智恵子さんにもご参加頂きました。

多くの日本人にとってイスラム教は文化的にも歴史的にもなじみが薄いのですが、インドネシアからの在留・訪日外国人は増加の一途を辿り、国内の医療機関ではイスラム教徒の患者さんが一層増えることが予測されています。本学科では今後もこのような機会を設け、多文化共生都市神戸にふさわしい看護師育成に取り組んでいきたいと思います。

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